先週、利尻島へ行ってきました。鴛泊(おしどまり)に位置する同宗派、『願正寺』の御住職がご逝去されたと連絡を受け、いろいろな経緯があり、僕が葬儀の導師を勤めさせていいただくということになりました。大変責任を感じる、しかし、お寺の御住職の葬儀をお勤めするというまたとない重役を引き受けることになり、複雑な思いを抱きながら午後のフェリーに乗り、なんとかお通夜に間に合うことができました。鴛泊(おしどまり)フェリーターミナルに着くと、総代さんが温かく迎えてくださり、今回の葬儀会場でもある願正寺へ。本堂で手を合わせ、控室となる奥の和室へ通された時、その場所がつい昨日のことのように感じられました。実は、ちょうど一年前、私が市内や組内各寺院の御住職に挨拶回りをしていた頃、利尻島にもお寺があるということを知り、早速、願正寺の御住職に連絡をして、快く迎えていただいた、というエピソードがありました。『ターミナルで布袍(ふほう)着て袈裟付けて待ってますから』…電話で仰っていた通り、エスカレーターを降りると、ニコニコして待ってくださっている小柄なご住職の姿がそこにありました。あぁ、この人がご住職さんか、と一目でわかりました。そこからお寺へ連れて行って下さり、本堂で一緒に讃仏偈をお唱えしました。『こちらにどうぞ』と通されたのが、葬儀の控室になった、あの和室です。僕は通夜の前、控室でじっと、思い出を振り返っていました。『この部屋で、いろんなお話ししてくれたなぁ』。自分の生い立ち、いかにして住職になったか、今はお寺のことをどう思っているのか、歴史の話し、山の話し…とにかくたくさん、たくさん話してくださいました。昼食は定食屋さんで御馳走になり、そのあとは島内をドライブし、ガイドをしていただきながら街の歴史を話していただきました。『息子が利尻富士に登りたいっていうんですよ』と僕が冗談交じりでいうと、『お寺に泊まってもらっていいですから、今度は家族でおいでください』と仰ってくださいました。小さく、微笑みながら。それが、最初で最後の、御住職との出遇い。『僕の継職法要に来てくださいね!またご案内出しますから絶対来てくださいね!』と強引に僕が言うと、無言で笑っていた、御住職。『会う』ということ。『出遇う』ということ。
御住職から、とても大事なことを教わりました。(今回のブログを掲載するにあたり、ご家族の方には許可をいただいております。みなさま、ご了承くださり、ありがとうございました。)
利尻島へ
